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利益保険でより幅広い安心を

企業の経営には様々なリスクがあり、経営者の皆さんにとって「リスクをいかに回避するか」ということは、非常に重要です。

労災事故をできるだけ起こさないこと、任意労災などので迅速な対応ができるようにすることが、非常に重要ですが、もしも職場での事故が広範囲にわたっていて、企業としての活動ができないほどのダメージを、施設が受けてしまった場合には、より深刻な事態になります。

たとえば、火災などが原因で工場や事業場での活動ができなくなり、利益を上げることができなくなってしまったら、企業としては窮地に立たされることになります。

売上高などを上げることができない間も、人件費などの経費が発生するだけでなく、たとえば火災や天災などの被害を回復させるための経費も発生します。

このようなリスクに備え、企業が受ける経済的なダメージを抑えるための保険が「利益保険」です。

利益保険は、次のような事故で企業が従来通りの利益を上げることができなくなった場合に、役立ちます。
・火災
・自然災害(落雷・風災・雪災・雹災)
・爆発、破裂
・飛来物や落下物による被害
・給水設備や排水設備からの水濡れ
・騒擾
・盗難
・破損
その他です。

企業が本来の活動を行っていれば得られるはずだった利益と、事故が原因で通常より多く支払うことになった経費の全部、または一部をカバーしてくれるのが利益保険の特徴です。

とはいえ、この内容はどこかで見たことがあるような気がしませんか?

実は、火災保険が対象としている事故と同じようなケースを想定しているのが、利益保険なのです。

しかし、火災保険は火災などにより焼失した建物を復元することはできても、企業として利益を上げることができない間の人件費や、建物の損害などを回復するための費用は、カバーできません。

たとえば、従業員の数が少なく、休業中に支払う人件費の額があまり多額にならない、という場合には火災保険を使って施設などを復元するという方法でも対応できるかもしれませんが、従業員の数が多いなどの事情があれば、利益保険を利用するほうが安心でしょう。

貴社にとってどのような保険が必要かという点も含めて、定期的な保険の見直しが必要ですし、利益保険と火災保険のどちらが良いのかという点も、損害保険会社と話し合いながら選んでいくことが重要でしょう。

いったん加入した保険を機械的に継続するだけではなく、貴社の側からも積極的に「見直した方が良いだろうか?」と働きかけるようにしましょう。

休憩時間の質と量を見直しましょう

各企業が定めている勤務時間や労働時間、休憩時間の量だけでなく質についても、世間の目がとても厳しくなっています。

従業員にロクな休憩を取らせることもなく、ひたすらに働かせるような企業は、ブラック企業としてあっという間に噂が流れる時代ともなっています。

長時間の残業、時間外労働だけではなく、休憩時間の量と質について、検討していきましょう。

労働基準法で、従業員の労働時間については、原則として1週間40時間、1日8時間と定められており、休憩時間については労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならないと定められています。

法的な定めがあるということも、休憩時間を確保すべき理由ですが、むやみに長時間労働を続けさせたとしても、業務の効率が上がらなくなったり、ミスが多発してしまう可能性もあります。

休憩時間には、身体的な疲労の回復という意味だけではなく、精神的な疲労を回復させるという意味もあるので、労働者は休憩時間を自由に利用することができるようにしなければならないと、労働基準法で決まっています。

とはいえ、法的に決まっているからという理由だけでなく、適度な休憩を取りながら作業を進めることが、たとえば製品を生み出す効率を上げることにつながり、労災事故を防ぐためにも役立ちます。

休憩の質についても、注意が必要です。

「休憩中にもかかわらず、業務の必要が生じた場合には、それを行わなければならない」という状況だった場合には、従業員の自由が確保されているとは言えないので、その時間は休憩時間ではなく労働時間にカウントされてしまいます。

なお、始業時間前や就業時間の後に機械類の点検を行っていることなども、その頻度や職場で慣習となっていることかどうか、といった状況によっては「労働時間」にカウントされる可能性があります。

労働時間が多くなった場合、それだけ休憩時間もきちんと確保しなければ、法的に問題となってしまいますので、注意が必要です。

休憩時間中に、従業員が自宅へ戻るというケースもあるかもしれませんが、従業員の自由な時間中なので、自宅へ戻ることをむやみに制限することは、難しくなります。

労働時間や休憩時間について、もしも貴社の認識が曖昧だったり、時間的・質的にきちんと確保できていないという場合は、今のうちに見直しを行って是正しましょう。

社内イベント参加中、保育園への送迎でも労災保険の給付が受けられることも

従業員の皆さんが、就業時間前に行った作業や、終業時間後に行った作業中にケガをした場合も、労災と認定されることがあります。

たとえば、就業時間前に機械類の点検をおこなったり、工場や事務所内の備品を整備したりしていた際に、ケガを負ってしまったという場合には、「業務に接続し通常付随する行為」であれば、業務上の災害と認められることがあるのです。

なお、労働災害にあたるかどうかの問題とは別に、労働時間の数え方の問題も起こるかもしれません。

これらの行為を、会社として黙認、許容していた場合には、これらの行為を行った時間も「労働時間」と計算されることがあります。

このほかにも、私服から制服に着替える時間や、全員参加とされているラジオ体操、訓話などの時間なども労働時間にあたると考えられるケースがありますので注意しましょう。

一見、工場や事務所などの業務とは関係がないように思われる社内インベント(レクリエーション活動など)も、厚生労働省の通達により、次の条件を満たす場合は業務行為であると認められることになっています。

(1)同一事業場または同一企業に所属する労働者全員の出場を意図して行われる

(2)当日は勤務を要する日とされ、出場しない場合には欠勤扱いとなる

このような行事の途中で足をくじいて労災保険を使いたいという従業員が出てくるかもしれませんので、雇用者としてもぜひ知っておきたいところです。

女性の社会進出と、保育園や託児所の不足については、広く知られるようになりましたが、働くお母さんやお父さんが、出勤途中にお子さんを保育園や託児所に預けてから、会社へ赴くというケースもあるでしょう。

通勤途中のケガについては、通勤災害として労災保険が使えるのは知られています。

しかし労災保険法における「通勤」として認められるのは「労働者が、就業に関し、住居と就業の場所との間を、合理的な経路及び方法により往復すること」であり、著しい逸脱や中断などがあった場合は、通勤とは認められません。

逆に言えば、会社に届け出ている通勤経路とは違う経路であったとしても「合理的な経路及び方法」であった場合には、通勤災害と認定されます。

労災保険の給付が受けられるかどうかは、単に「ケガ・事故が就業時間内の出来事だったか、事業所内の出来事だったかどうか」という点で判断されるのではないことが、お分かりいただけたかと思います。

労災保険の問題の他に、労働時間としてカウントされるかどうかの判断は、労働基準法に関わる問題ともなりますので、就業規則などの作成の際に注意してください。

保険料が「本当に負担になっているのか」検討を

事業で利益を上げるために、売上を伸ばしていくことともに、費用を削減して利益率を上げていくことも必要です。

利益率のよい経営を行っていると、銀行や投資家の信頼も得られやすくなります。

しかし、どんな費用でもやみくもに抑えればいいという問題ではなく、直接利益につながらない費用でも、経営にとって重要な費用というのは存在します。

簡単な例として「人件費を抑える」という方法は、あまりに濫用しすぎると社員のモチベーションが下がり、かえって生産性が落ちてしまうことになるので、要注意です。

労災保険に関しても「人に関わる保険」であるだけに、慎重にならなければいけないでしょう。

また、経営者の方は労災保険だけではなく様々な保険料の支払い、所得税・法人税、消費税などの納税、銀行を相手とする資金繰りなどに追われていて「支払のことばかり考えている」という状態が精神的負担になっている場合もあります。

経営者の方には「お付き合い」を求めて近づいてくる人がいますので、ついついあちこちに銀行口座を開いてしまうこともあります。

すると「どの口座に、いつまでに、いくらの資金を用意すればいいのか」が分からず、支払日が迫ってから資金をばたばたと移動しなければならない、ということもあるのです。

まず、事業に使用する口座の数を絞り込み、使わない口座と線引きをしてしまいましょう。

そして「納税・支払い」のタイミングを一覧表にまとめておき、資金の予定を立て、準備をしやすい状況を作っておきます。

毎月決まって支払いのあるお金については、常に意識しているものですが、半年、1年、あるいは数年に一度の支払いのものについても、分かるようにしておきましょう。

こうすることで「納税・支払い」に関する心理的な負担感が減りますし、本当に削減すべき費用は何かが見えてきます。

その上で、労災保険の保険料を抑えることが必要だという場合には、保険会社・代理店の担当者に現状を伝え、相談をしましょう。

労働基準法や労働安全衛生法などは改正が行われることもあり、経営者として新規事業を始める・不採算事業をやめるという決断をした場合には、労災保険で必要な補償も変わってきますので、必要な補償についても見直しを行いましょう。

以上のように、事業全体の収支の状況を把握するためにも、「どの金額の支払いが、いつまでに必要となるのか」を、一覧表にするなどして分かりやすくしましょう。

さらに、銀行口座の数は絞り込んで、収支が見えやすい環境を作りましょう。

そのうえで、本当にコスト削減が必要な費目を把握し、専門家にも相談をしながらコスト削減を行っていくことが重要ですね。

政府労災の給付内容とは?

労働災害が起こった場合、被災者はまず政府労災の給付を受けることになります。

政府労災の給付内容は次のようなものです。

・療養(補償)給付
・休業(補償)給付
・障害(補償)給付
・遺族(補償)給付
・葬祭料(葬祭給付)
・傷病補償年金(傷病年金)
・介護補償給付(介護給付)
・二次健康診断等給付
・社会復帰促進等事業の特別支給金

労働者が業務上や通勤途上等において負傷した場合、事業者や現場に居合わせた人は、まずは救急車を呼ぶことになります。

そして、労働者は療養(補償)給付を受けることになり、医療費の負担ゼロで治療を受けることができます。

療養(補償)給付は、労災指定医療機関等において、原則として医療の現物支給という形で給付が行われます。

労働災害に遭い、身体的・精神的に大変な思いをしている労働者には、まず「医療費の心配をしなくていい」ということを話して、安心させることも大切です。

もし、近隣に労災指定医療機関がなかったり、労働者のケガや病気の状況がせっぱつまっており、労災指定医療機関を受診できなかった場合には、被災者がいったん医療費を負担し、その後、医療費が支給されるという仕組みもあります。

また、労働災害によるケガなどが原因で、休業しなければならない場合には、1日につき給付基礎日額の60%に相当する額を受け取ることができ、これを休業(補償)給付と呼びます。

休業(補償)給付には「待機期間」があり、休業3日目までは給付が行われないことになっています。

障害(補償)給付は、労災事故の傷病が治ったあと身体に一定の障害が残った場合に支給されます。

この他にも様々な給付が行われている政府労災ですが、残念ながら被災した労働者の生活を立ち行かせるのに十分な額とまでは言えません。

医療費がかからない場合でも、これまで受け取っていた給料の60%程度の収入しか得られないとなると、経済的に大変困るという労働者もいます。

また、身内がケガをした・病気になったという場合は、ご家族が細々とした出費をしなければならないこともあります。

労働者が安心して療養できるよう、事業主としては民間の労災保険を利用し、従業員に手厚い補償を行えるよう、準備しておくことが必要でしょう。

また、労働災害に関しては、労働者が堂々と意見を主張する時代となり、法律の専門家を立てて争う、裁判所に争いを持ちこむというケースも増えており、民間の労災保険の中には「弁護士報酬、訴訟費用などをカバーできる特約」を用意しているものもあります。

政府労災と民間の労災保険

そもそも、労働災害(略称:労災)とは、次のようなものです。
●業務災害......労働者の業務上の負傷・疾病・障害・死亡
●通勤災害......労働者の通勤途上の負傷・疾病・障害・死亡

業務災害と認められるかどうかの判断は、労働者の負傷などに業務遂行性、業務起因性があるかということをもとに判断されます。
●業務遂行性......業務の中で発生したケガ・病気であるかどうか
●業務起因性......業務がケガや病気の原因となっているかどうか

この両方が認められた場合に「業務災害である」と判断されます。

昨今は「脳梗塞や心筋梗塞を起こしたが、それが過重労働などに起因するものであると認められるかどうか」が裁判で争われることが増えています。

労働災害と認められ場合は、被災者は療養(補償)給付をはじめとする様々な給付を、政府が運営する労災保険から受けることができます。

なお、政府労災は労働者を1人でも雇用している事業主は必ず加入しなければなりません。

「労働者」には、試用期間中の者、さらに海外出張者、日雇労働者、外国人労働者(不法就労者も含む)などが含まれます。

また「1人でも」の部分には、正社員・正職員だけではなく、パート、アルバイトなど様々な雇用形態の人が含まれます。

逆に「労働者」に該当しない人、たとえば企業の役員や役員の家族従業員、下請け・孫請けなどの業務請負人、建設業界等の一人親方として働く人は労働者には該当せず、補償を受けることができません。

最近は、建設業などに従事する1人親方のために、政府労災の特別加入が認められていることが、注目されています。

とはいえ、政府労災は「必要最低限の補償を行う」ものであり、本来は労災事故を起こしてしまった事業主が負うべき賠償責任を肩代わりする性質のものです。

重大な事故であればあるほど、労働災害に該当するかどうかの認定まで、非常に時間がかかったり、企業の損害賠償責任を問う裁判に発展したりする場合もあります。

事業主としては、政府労災だけに頼ろうとすると、労働者は十分な給付を受けられず生活が立ち行かなくなったり、対応に時間がかかりすぎて、労働者の感情がこじれてしまったりします。

そのような場合に備えて、民間の労災保険に加入し、労働者への補償を手厚く行えるようにしておくという方法があります。

保険料を支払わなければならないのですが、不測の事態が起こった場合。雇用している人々に十分な補償を行うとともに、事故対応を保険会社にまかせることができ、安心感が得られるようになります。

労災保険と保険料

労災保険は「事故が少なかった事業者ほど安く」「事故が多かった事業者には多く」保険料を負担してもらう仕組みになっています。

政府が運営する労災保険にも「メリット制」が採用されています。

労災保険の保険率は、事業の種類に応じた災害率、災害の種類、作業態様等にもとづき定められることになっていますが、かつて事故を起こしたことがある事業場には労災保険率を高めに、事故がなかった事業場ほど労災保険率が低めに変動する仕組みを採用しています。

メリット制は、常時100名以上の労働者を使用する事業とされています。

政府労災だけではなく、民間の労災保険に加入する場合には、保険金を請求する回数があまりに増えると、次の更新ができない、更新はかろうじてできたとしても保険料が高くなるなどのトラブルが起こることがあります。

昨今は「安全配慮義務」という言葉が知られるようになり、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」と、労働契約法という法律において明文化されています。

具体的には労働安全衛生規則において、
「事業者は、機械の原動機、回転軸、歯車、プーリー、ベルト等の労働者に危険を及ぼすおそれのある部分には、覆い、囲い、スリープ、踏切橋等を設けなければならない。(101条1項)」
「事業者は、高さが2メートル以上の作業床の端、開口部等で墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある箇所には、囲い、手すり、覆い等を設けなければならない(519条1項)」
などの定めがあります。

「労災保険に加入しているから安心」というだけではなく、できるだけ労災事故を起こさないよう、労働者の健康や職場の安全衛生管理を徹底していくという姿勢が必要でしょう。

労働災害に関しては、もしも労働者の側が訴訟を起こし、企業側が裁判で負けてしまったという場合に、損害賠償金額が多額になる傾向があります。

死亡事故であったり、労働者が高度障害の状態になったりした場合にはなおさらです。

被災者に対して「できるだけ早く、誠意のある対応をする」「金銭的な補償を十分に行う」「再発防止策を提示する」などの方法で、被災者側の感情を鎮めることができれば、問題を最小限に抑えることも可能になります。

「保険へ加入していて金銭的な備えができている」という安心感と、損害保険会社・代理店という事故対応の相談相手を得ているという事実が、迅速な対応を可能にするという面もあるのです。

通販型契約の長所と注意点

任意労災・上乗せ労災は、ネット上で契約を済ませることができる通販型保険が発売されています。

通販型保険を契約する際には、対面販売の保険を契約する場合に比べて注意点があります。

まず、損害保険契約を結ぶには、
●損害保険会社(担当者)に直接契約をする方法
●損害保険代理店で申し込む方法
があります。

そして、損害保険会社、代理店の中には、インターネットですべての契約を済ませることができるサービスを提供しているところもあります。

通販型保険の特徴は「手軽に契約を結ぶことができる」という点であり、「ともかく労災保険に加入して、備えをしたい」という人ほど、手軽に契約を結ぶことができるインターネット通販は便利だと思えるかもしれません。

しかし、注意点もあります。

通販型保険は誰とも相談せず、契約希望者自らが契約の内容を確認し、納得して契約を結ばなければなりません。

貴社にとって必要な補償が、得られるのかをきちんと確認しなければならず、そのためには対面販売の保険で損害保険会社の担当者・代理店と話し合っていくほうが、漏れや抜けがない場合が多いのです。

また、万が一労災事故が起こってしまった場合、損害保険会社の担当者・代理店とすぐに連絡が取れることが必要ですが、通販型保険の販売代理店とは「不測の事態の際に電話がつながらなかった」というトラブルも、実際報告されています。

さらに、労災事故は単独で起こるのではなく、自動車事故や火災、通行人などの第三者に怪我をさせる、などの複数の事故が同時に起こっていることもあります。


様々な不測の事態に備えられるよう、まずは「貴社が必要としている補償は何か」を理解し、複数の保険契約を組み合わる、特約をつけるといった方法で補償を得ておきましょう。

通販型保険の契約をしようとするなら、上乗せ労災・任意労災だけではなく、貴社が契約している保険の全体像を把握し、契約する人自身の正しい判断が必要とされることを、意識しておきましょう。

不測の事態が起こった際、必要な補償が得られないことになっては、保険契約の意味がありません。

労災保険は非常に重要性が高い保険ではありますが、業種・業態・事業内容などによって、他にも必要な補償というものがあります。

もしも、ご自身の判断だけでは必要な補償内容を得られる自信がないという場合は、対面販売式の保険を選び、保険会社の担当者や代理店とじっくり相談しながら、契約をするほうがいいでしょう。

通勤災害について

労働災害には、実は大きく分けて2つの種類があります。

それは業務災害と通勤災害です。

通勤中の事故やケガが起こった場合、「業務を行うために必要な通勤」であると認められた場合には、政府労災の給付の対象となります。

労災保険の給付が受けられる場合にあたる「通勤」は、「就業に関して、移動を合理的な経路、方法により行うこと」をいいます。

「就業に関して」とは、業務を行うために会社に行くということや、仕事を終えたために帰宅するということです。

たとえば、「休日にふと思い立って会社の近くまで行った」「帰宅途中に遊びに立ち寄り、遊びが終わってから帰宅する」などの場合は、通勤とは認められないことがほとんどです。

「移動を合理的な経路、方法により行うもので、業務の性質を除くもの」という部分は、通勤のために通常利用する経路で、と考えればよいでしょう。

「通常利用する経路」と認められれば、複数の経路があっても「合理的」と認められます。

また、「合理的な経路、方法」とは、公共交通機関、自動車、自転車などの方法を利用することや、徒歩での移動が含まれます。

「業務の性質を除くもの」とあるのは、業務の性質を含む場合には業務災害に該当するとされるため、通勤災害から除かれることとなっています。

また、「複数事業者の事業場間の移動」や「単身赴任者の住居間移動」についても、「通勤」であるとして、労災保険からの給付が受けられるようになりました。

「複数事業者の事業場間の移動」とは、複数事業者の事業場間移動2か所の事業場で働く労働者が、1つ目の就業場所で業務を終え、2つ目の就業場所へ向かう途中に災害にあった場合のことです。

また「単身赴任者の住居間移動」とは「単身赴任者が、赴任先住居と帰省先住居との間を移動している途中に災害にあった場合」のことを指します。

また、通勤の途中で経路から逸脱したり、通勤を中断した認められる場合には、逸脱・中断の間、その後の移動などは、通勤にはならないとされています。

とはいえ、日常生活で必要な物品を買うため、病院・診療所に立ち寄るためといった一定の理由・一定の行為であると認められたときは、合理的な経路に戻った後は「通勤」であると認められます。

通勤災害については、判断が難しいところも多いですが、労災保険の対象であることを従業員の皆さんに周知徹底して、万が一の場合に補償が受けられるよう計らう必要があるでしょう。

政府労災の待機期間とは?

政府労災の休業補償給付を受け取ることができるのは、「休業したために賃金を受けない日の第4日目」からであり、それまでの期間は待機期間として、受給することができません。

このことは、労災保険法第14条に規定されている内容で「労働者が業務上負傷し又は疾病にかかった場合、その傷病による療養のため労働することができないために賃金を受けない日(休業日)の第4日目から休業補償給付を支給する」と定められているのです。

本来、労災事故を起こしてしまった事業主には、被災者に対する補償義務が課せられているのです。

第1日目から第3日目(待期期間)までは、事業主が平均賃金の60%を補償することになっています(通勤災害に関してはこの限りではありません)。

労災保険は、事業主に十分な資力がないといった理由で、事業主が労働者に対して補償を行うことができなかった場合に、労働者が不利益をこうむってしまうことを、できるだけ避けるという意味合いで設けられた制度です。

事業者は、休業第4日目以降について労災給付が行われた場合は、事業主はその補償義務を免除されると定められています。

とはいえ、政府労災の支給では足りない部分を、任意労災・上乗せ労災に加入して補償を得られるようにしておくことで、従業員に対して十分な補償を行うことができるようになります。

労働者にも様々な法律についての知識が浸透しているとともに、労働災害に遭った場合に弁護士を立てる、裁判に持ち込むといったことに抵抗の薄い人が増えています。

またインターネットの発達によって、一般人が多くの人に向けて、様々な情報を発信できる時代でもあります。

特に、訴訟沙汰に発展した場合には、支払いを命じられる損害賠償金の金額が数千万円から数億円にのぼることもあり、企業経営を続けていく上で大変な打撃となります。

このような場合に備えて、労災保険や使用者賠償責任保険などに加入しておくことで、事故対応が迅速に行えるようになり、労働者にとっても納得のいく対応ができるようになるでしょう。

労災事故だけではなく、昨今はPL法にもとづいて消費者が訴えを起こし、企業側に損害賠償責任が認められた場合の賠償金額が多額になったり、建設現場の近隣住民・隣接する住宅などに被害を与えてしまった場合の賠償金額なども、大きな額になることがあります。

労災保険に加入するだけではなく、様々な保険商品を組み合わせ、必要な補償を漏れなく得られるようにしておきましょう。

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